さくらサイエンスプログラム

JSTのさくらサイエンスプログラムを利用した研究体験のため,インドネシアの二つの大学から留学生4名が本研究室を訪れました。

約1週間のごく僅かな滞在期間のうち,本研究室で研究を体験したのは約2日。キャラクターエージェント対話システムMMDAgentを用いて,キャラクターエージェントとの対話を実現する対話コンテンツを作成してもらいました。

様々な対話システムのなかには,有限状態トランスデューサ(Finite State Transducer, FST)を用いて,人とのインタラクションを実現するものがあります。MMDAgentも,このFSTを作り込むことによって,人の音声発話に対するキャラクターのリアクションを可能としています。本さくらサイエンスプログラムに参加した留学生は,自分達が実現したい対話シナリオを作成し,その対話の遷移に従って,FSTを作り込んでいきました。結果,2種類の対話コンテンツを作成し,MMDAgentで動作させることができました。

対話シナリオは英語で作成することを勧めたのですが,結果的には日本語の音声認識・音声合成を利用して作成していました。留学生は日本語がほぼ話せないのですが,日本語入力における発音・発声の問題により,音声認識がスムーズに行われない場合も,対話中にフォローすることができるよう,それを回避するための条件をFST内に記述していました。最終的には,この2日間で,コンピュータとの対話を実現するための状態遷移に不可欠なFSTの仕組みを理解し,状態遷移における簡単な条件分岐のFSTを記述できるようになったようでした。

また,研究室内の学生には留学生のサポートを行ってもらいました。参加したのは4年生の加茂くん,3年生のクーさん・深津くん・中山くんです。留学生とのコミュニケーションは英語がベースです。研究室内には英語を母語とする学生は1名のみでしたが,私が授業で研究室にいない時も,しっかりと留学生のサポートをしてくれました。(ありがとう!)

英語を母語としない学生は,コミュニケーションにおいては必ずしも英語を必要としないということを学ぶとともに,留学生が抱える技術的な問題を理解するためには英語による意思疎通が必要であるという認識を持ったようでした。弊研究室の学生にとっても,言語・文化の異なる相手とのコミュニケーションについて理解を深めるよい機会だったようです。

最終日の成果発表会では,作成した対話コンテンツのデモ動画を披露することができました。また,そのあとの懇親会でも,留学生と弊研究室の学生とで交流を図っていたようです。

(文責:有本)